映画感想につきましてはネタバレを含まないようにし、ストーリー紹介も最小限にしています。「何を見るか」選ぶ参考にしていただければ幸いです。

ホラー・サスペンス映画 映画感想

ロスト・バケーション 74点 ネタバレ無し感想

更新日:

(C)2016 Sony Pictures Digital Productions Inc. All rights reserved.

原題:The Shallows
製作年:2016年
製作国:アメリカ
配給:ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
映倫区分:PG12
監督:ジャウム・コレット=セラ
製作:リン・ハリス、マッティ・レシェム
製作総指揮:ダグ・メリフィールド、ジャウム・コレット=セラ
キャスト:ブレイク・ライブリー
(以上、映画.comより)

(あらすじ)
医学生のナンシー(ブレイク・ライブリー)は、休暇を利用し、亡き母の思い出の秘密のビーチへ訪れた。美しい海を満喫していたが、そこに突然人食い鮫が現れ、ナンシーを襲う…。


74点/100点


浅瀬での人食い鮫との攻防を描いたスリラー映画。独特の手法で描く鮫映画で、多方面から高い評価を得た。

ジャウム・コレット=セラは個人的にとても好きな監督である。2019年現在44歳と監督にしてはまだ若いが、既に多くの実績を残している。私も彼の監督した映画作品はほとんど視聴済みであるが、特に印象が深いものとしては「蝋人形の館」「エスター」「アンノウン」「フライト・ゲーム」などを挙げたい。彼の監督した作品はスリラー映画が多く、スリル感を演出することに大変長けている。特徴的なのは、「視覚効果」を最大限に利用することだ。アップで撮る場面、引きで撮る場面、そして角度など。どういうカメラワークでの演出をどのタイミングで挿れると最大の効果を発するか。それがよくわかっている監督である。このロスト・バケーションでも、実にその効果が上手く使用されている。

さて、この映画ロスト・バケーションであるが、今までの他のサメ映画と比べると大分系統が違う。といっても、サメ映画というのはカルト的人気を誇るジャンルの一つであり、クリエイター達の間で様々な試みが行われている。記憶に新しいのは、サメを竜巻で飛ばすというとんでもない発想のシャークネードシリーズがごく一部でヒット(?)したというインパクトか。

ではロスト・バケーションはどういったサメ映画なのか?というと、「普通のサメ映画」というのが一番の特徴である(なんのこっちゃ)。竜巻で空を飛ぶわけでもなし、頭が二つあるわけでもなし、異常に頭がいいわけでも、太古の巨大鮫というわけでもない。普通のサメなのだ。だが、普通のサメと戦うのが、何の武器も持たない、重症を負ったただ一人の医学生の女性だとどうなるか…?という映画なのだ。そう、何よりこの映画の恐ろしいところは、まず主人公ナンシーが足を噛まれてから始まるということだ。その状態で浅瀬の岩場に一人取り残される。最悪の状態である。それまではただの前振りである。人食い鮫に足を思い切り噛みつかれてまともに動けなく、出血もひどい。岩場は海に囲まれており、ビーチまで逃げようものならすぐに鮫に噛み殺される。人にほとんど知られていないビーチなので助けも期待できない。そして、ナンシーは屈強な警察官でもレスキュー隊員でもない。それゆえのハラハラ感が物凄いのだ。

というシチュエーションを重視した映画である。ソリッドシチュエーションスリラーの一種だと言えるだろう。この究極のシチュエーション、しかも脅威は鮫だけではない。そこは、実際にこの映画を視聴して確認してほしい。また、この映画の演出で秀逸だと言えるものとして「痛さ」の事についても触れる必要があるだろう。とにかく、痛い演出が凄いのだ。観ながら、気づくとこちらが歯を食いしばって耐えている。それこそがまた、画面の迫力を増す。一度没入すると、最高のスリルを楽しむことができるだろう。

怖いものが好きな映画ファンには是非一度、観てもらいたい。




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