原題:Train to Busan
製作年:2016年
製作国:韓国
配給:ツイン
監督:ヨン・サンホ
製作:イ・ドンハ
製作総指揮:キム・ウテク
脚本:パク・ジュソク
撮影:イ・ヒョンドク
キャスト:コン・ユ、キム・スアン、チョン・ユミ、マ・ドンソク、チェ・ウシク 等
(以上、映画.comより)
(あらすじ)
エリート仕事人間のソグ(コン・ユ)は、妻と別居し、娘のスアン(キム・スアン)と暮らしていた。スアンに全く構ってやれていなかったソグだが、スアンの誕生日に言われた「釜山のお母さんに会いたい」という要望を聞くため、二人でソウル発釜山行きの高速列車KTXに乗り込んだ。しかし車内でゾンビウイルスが蔓延し始めるのだった…。
81点/100点
韓国発のゾンビ映画。KTX(日本で言う新幹線)の中で起こるゾンビパンデミックを鮮烈に描く。様々な映画祭で賞を受賞する等高い評価を得た。日本でも韓国公開の一年以上経ってから鳴り物入りで公開がされ、多くの観客の心を掴みゾンビ映画では異例の大ヒットを記録した。
この映画の特徴としてはやはり、電車の中が舞台だということ。ゾンビ+電車という要素の組み合わせがまた面白く、抜群の相乗効果を発揮している。電車の中でゾンビの感染が広がっていく。しかし外もゾンビだらけで降りることはできない。どう生きるか。そしてそれだけだと単純な話に思えるが、脚本がまた秀逸であり、観客を飽きさせない様々な面白い展開を見せる。これでもかとアイディアが詰め込まれたゾンビ映画なのである。
ゾンビの系統としては、リメイク版「ドーン・オブ・ザ・デッド」に代表される、走る高速ゾンビである。キビキビ動き、車両の中を所狭しと走り回る。これが実に恐ろしい。時速300キロを超えるKTXの中ということもあり、かなりのスピード感を演出してくれる。また、噛まれてから割とすぐにゾンビ化(個人差があるようだが…)するという特徴もある。ゾンビメイクも特徴的で、上手い具合に「韓国流ゾンビ」が出来上がっている。
そして、韓国といえば家族、親子、人の絆を大事にする国である。韓国ドラマや韓国映画を好きな方には馴染み深いと思うが、この映画でもそれは反映されており、特に親子愛というものを大きく扱っている。このことについてはゾンビ映画という本質の中でも浮いてしまっている事は決してなく、上手く話の中に溶け込んでいる。やはり人の人生とは、守るものがあってこそなのだと改めて考えさせられる。
色々な意味で韓国らしさが随所に残る映画なので、そこに抵抗感がある人も少なからずいるだろうとは思うが。そこも全部まとめて楽しもう。怖いだけではない、この韓国流ゾンビ映画。韓国映画の新しい道を切り拓いたと言っていいだろう。