原題:Phone Booth
製作年:2003年
製作国:アメリカ
配給:20世紀フォックス映画
監督:ジョエル・シュマッカー
製作:デビッド・ザッカー、ギル・ネッター
製作総指揮:テッド・カーディラ
脚本:ラリー・コーエン
キャスト:コリン・ファレル
フォレスト・ウィテカー
ケイティ・ホームズ
ラダ・ミッチェル
キーファー・サザーランド
(以上、映画.comより)
(あらすじ)
主人公スチュー(コリン・ファレル)は、自称やり手のメディア・コンサルタント。口が達者で、他人を自分の道具として利用する男だった。ある日、スチューは不倫を企てていたところ、彼が切ったばかりの公衆電話から電話がかかってきた。電話相手はスチューに次々と指令を出し、逆らうとスナイパーライフルで狙撃すると言う…。
83点/100点
物語がほぼ全編にわたり、一つの電話ボックスだけで行われるワンシチュエーション映画。
これは実に、本当にとてもよく出来上がったサスペンス映画である。息をつかせないハラハラ感とはまさにこのこと。主人公は電話ボックスの中にいて、スナイパーがどこかから監視している。これだけなのに、全く飽きない。常に緊迫した状況を楽しめるのだ。というのも、登場キャラについての綿密な設定と行動。これが洗練されている素晴らしい脚本から成る映画作品だからだ。主人公スチューは今まで口先だけで社会を渡ってきたやり手。ただし、それ故に恨まれやすい。そこにつけこむスナイパー。この、主人公スチューの設定が絶妙だ。他人に対して傲慢に振る舞ってきた事。しかし、スナイパーに追い詰められていくにつれて自分の罪を認め、考えを改めていく。その様が実に迫真である。そして、感情移入してしまう。何故か?この主人公スチュは極悪人というわけではなく、傲慢と言っても、言ってしまえば「性格が悪い」レベルなのである。観客側も共感しやすいのだ。
そして、スチュは犯人を事態を打開しようとする。スナイパーは、スチュに出し抜かれないよう様々な罠を張り巡らす。この攻防が実に理想的で、スリラー映画によくある「主人公側がバカ」だったり「敵側がバカ」だったりする事が全くない。隙のない真面目なやり合いを楽しめるのだ。スチュが勝つのか?謎のスナイパーが勝つのか?終わり方も実に小気味良く、考えさせられる。この映画のスナイパーとは一体何者なのか。登場人物達は一体何故狙われたのか。様々な考察ができて実に面白い。
忘れてはいけないのは、この主人公スチュを演じるコリン・ファレル。この映画での演技は賞賛以外の何物でもない。様々な表情でキャラを完璧に演じ切ってみせてくれている。良い脚本と良い俳優。これが揃ってこその素晴らしい映画である。スチュとスナイパーの攻防のように、隙の見当たらないこの上質なサスペンス映画。未鑑賞の方には是非一度観てもらいたい。