原題:La cueva
製作年:2013年
製作国:スペイン
監督:アルフレッド・モンテーロ
製作:アルフレッド・モンテーロ、フアン・ゴルドン、マルコス・オルティス
脚本:アルフレッド・モンテーロ
キャスト:マルコス・オルティス、マルタ・カステジョテ、ホルヘ・パエス、エバ・ガルシア、ソエル・フェルナンデス ほか
(以上、映画.comより)
(あらすじ)
遊び盛りの若者、男女5人。秘境の島でバカンス中の彼らは羽目を外して楽しんでいた。キャンプの翌日、洞窟を見つけた彼らは興味本位で探検する事にした。狭い洞窟は分かれ道が多く入り組んでおり、帰り道がわからなくなってしまい…
70点/100点
洞窟を探検しに来た若者達が、迷って洞窟から出られなくなってしまうよ、という単純明快なストーリーの映画。日本語版タイトルは、巨大洞窟を探検する映画「サンクタム」から取っている事は明らかであるが、中身としてもしっかり似た系統の作品である。しっかり洞窟を探検するし、しっかり迷うし、しっかり殺し合いもする。怪物も出てこない。サンクタムが好きでこの映画を観てみる人でも、ある程度楽しめるだろう。
さて、ではサンクタムとはどう違うか?というところで、この映画のキーワードを挙げてみよう。「休暇」「おバカな若者グループ」「旅行」「人里離れた地」「携帯の電波がない」。おわかりだろうか。これはもう、映画「死霊のはらわた」などの系譜と言っていいのではないだろうか。つまり、日本語タイトルとして拝借しているサンクタムとは少し毛色の違う、B級ホラー映画である(サンクタムは、割と真面目な路線のスリラー映画である)。しかしこのB級映画のパターン化された、様式美とも言える作り。人を選ぶと思うが、面白いのである。正直私はこの系統の映画はいくらでも飽きずに見続けられる。注意すべきこととしては、幽霊や怪物、地底人等は出てこないということ。
そしてこの映画の一番の特徴は、「とにかく狭い」という事だ。洞窟の中に入るとほぼ全く、登場人物が立っているシーンがない。まっすぐ立てないほど天井が低い洞窟なのである。登場人物は皆、中腰で洞窟を進み、時には這って進む。この非常に窮屈な舞台が、緊張感を上手く演出している。閉所恐怖症の人でなくても、人は基本的に本能的で狭い場所に不快感を感じる。この映画は登場人物を非常に狭い空間に閉じ込めるが、これが観客の本能に訴えかけるのだ。狭い、苦しい、と。その結果、目が離せなくなる。いや、実に面白い。
撮影に使用している場所が限られており、登場人物も少なく、派手な演出もない。見るからに低予算で作られた映画だ。しかし、B級ホラーの鉄板パターンの踏襲と非常に効果的なシチュエーション。よくぞここまで面白く仕上げたものだ。もちろん、万人に薦められるような映画ではないが。