原題:Logan
製作年:2017年
製作国:アメリカ
配給:0世紀フォックス映画
映倫区分:R15+
監督:ジェームズ・マンゴールド
製作:ハッチ・パーカー、サイモン・キンバーグ、ローレン・シュラー・ドナー
製作総指揮:スタン・リー
キャスト:ヒュー・ジャックマン、パトリック・スチュワート、ボイド・ホルブルック、スティーブン・マーチャント、ダフネ・キーン 等
(以上、映画.comより)
80点/100点
X-MENのキャラクター「ウルヴァリン」を主人公とした映画作品スピンオフシリーズの第3弾。
現在、X-MENの映画化シリーズで時系列的に一番最後にあたる作品。ただし、「X-MEN: フューチャー&パスト」によりウルヴァリンが過去へ戻った事により新たな時間軸世界が誕生したということもあり、今後更に新たな時間軸世界が発生することも考えられないわけではない。そのため、これが「X-MEN」の最後、ウルヴァリンの最後、と決めつけるのもよくないと思うが、まあこれがヒュー・ジャックマン演じるウルヴァリンの最後には違いないだろう。
さてこの映画はとても特殊である。X-MENシリーズで最も人気がある、不死身でエネルギッシュなウルヴァリン。彼が老い、全盛期ほどの力も失い。その果てが、この「ローガン」というロードムービーであるという意味。これを理解し、受け入れるというのは我々視聴者には簡単な話ではないのだが、受け入れるしかないのだ。この映画には一般的なヒーロー映画(今までの関連作品含む)のような派手で華やかなものはなにもない。薄汚れた街、荒れ地が舞台であり、疲れ果てた満身創痍の男が主人公。映画全体のテンポもこれまでのシリーズではありえない程に鈍重であり、暗い雰囲気だ。「X-MEN」シリーズ自体も他のアメコミヒーロー映画とは違い、ほぼコメディ要素を排除したシリアスな映画シリーズという特徴があるが、ローガンではその方向を維持しつつ更に斜め上へ特徴を伸ばし続けた形か。
そもそも、ウルヴァリンというキャラクター自体がヒーローとして異端な存在である。常に鬱積したものを抱え、ヒーローとして以前に、人間として屈折した心を持っている。そしてそんなウルヴァリンは今回、街で地味な仕事を続け、荒れ地で老人を介護する生活をしている。そして自身も、爪に宿すアダマンチウムが体内に侵食し、呪われた宿命を持つヒーローは死へと向かっていく。しかも味方はほぼおらず、それに対して敵対勢力は強大だ。そこに希望はない。
この映画は、そのような希望のない状況で、ウルヴァリンが最後の希望を発見し、守り「守られ」奔走するストーリーである。悲壮的だがこれこそが「ヒーロー」の完成形である。ヒュー・ジャックマン最後のウルヴァリン。魂の籠った演技を脳裏に焼き付けよう。