原題:The Commuter
製作年:2018年
製作国:アメリカ・イギリス合作
配給:ギャガ
監督:ジャウム・コレット=セラ
製作:アンドリュー・ローナ、アレックス・ハインマン
製作総指揮:マイケル・ドライヤー、フアン・ソラ
キャスト:リーアム・ニーソン、ベラ・ファーミガ、パトリック・ウィルソン、サム・ニール、エリザベス・マクガバン 等
(以上、映画.comより)
(あらすじ)
10年間勤めてきた会社から突然、解雇を宣言されたマイケル(リーアム・ニーソン)。失意のまま普段通りの通勤電車で帰路につくが、電車の中で見知らぬ女性に、「乗客の中からとある人物を見つけ出せば10万ドルを支払う」と突然言われ、事件に巻き込まれる…。
80点/100点
「アンノウン」「フライト・ゲーム」「ラン・オールナイト」に続く、ジャウム・コレット=セラ監督と、リーアム・ニーソン主演の4度目のタッグ作品。このタッグ作品ということが意味することは何か?鉄板の面白さだという事だ。この作品も例外ではない。批評家達の評判はそれほど高くはなかったとのことだが、公開初週末に1370万ドルを稼ぎ出すヒット作となった。
さて、あらすじからもわかるように、これは「陰謀に巻き込まれる系」映画である。このジャンルは基本的に、主人公が大きく不利な状況からスタートするものであり、それだけでスリラーとしては面白くなりやすい。ただし、このジャンルの難しさは、風呂敷の広げ方、畳み方の難しさだ。陰謀に巻き込まれて面白くするのはよいが、映画一本で話がまとめきれないと消化不良になってしまう。その点、この映画は綺麗に、最後に陰謀も含め解決するので安心してよい。伏線の張り方もちょうどよい。
では、なぜそこまで綺麗に話がまとまるのか?それは、映画の舞台がほぼ「電車の中だけ」で完結するからだという事が大きい。不必要に多くの登場人物もいないし、話が広がりすぎもしない。話もわかりやすい。実にいい塩梅が作り出せるのである。
そして更に面白いのが、その舞台の電車が「主人公が10年間通勤に使い続けている」ということだ。このアイディアは凄い。と主人公と電車の乗客達(とスタッフ)の関係が既に出来上がっている。しかし全員の顔を覚えているわけでもないし、勿論常連客以外も存在する。なかなかこの環境がいい演出となっている。
また、主人公のマイケルを演じたリーアム・ニーソン。既に様々な映画で名を馳せた大ベテランであるが、この映画でも大満足の演技をしてくれている。撮影時は65歳程であるが、190cmを超える高身長を全身フル活用し、パワフルなアクションシーンも演じきっている。年齢を感じさせない、と言うと嘘になるが、その演技の妥協のなさには脱帽だ。
総じて、大変クオリティが高く、最初から最後まで楽しめるアクション・スリラーの良作だと言える。なお、原題の「The Commuter」は、通勤者という意味。邦題では大分タイトルから得られる印象が変わってしまうが、話のテイストはこちらの方がわかりやすいため、どちらもアリだとは思う。